スマートシステムとIoTのためのエッジコンピューティング

エッジコンピューティングを使用した、IoTシステムのパフォーマンスと費用の最適化

デジタルトランスフォーメーションとInternet of Things(IoT)は、これまでになかった拡張性とパフォーマンスに関する課題を、ネットワーク、ストレージ、システムアーキテクトに突きつけています。センサー、ウェアラブル、自律型マシン、コネクテッドカーなどの膨大な数のスマートデバイスが生み出すデータの種類と量は増え続け、それらを迅速かつ確実に、費用効率よく処理・分析することが求められています。

従来の中央集約なシステムアーキテクチャでは、エッジで取得したデータを企業の中央データセンターやクラウドで処理しますが、このアーキテクチャでデジタル時代に求められる拡張性と高いパフォーマンス要求に対応することは困難です。 多くの企業やサービスプロバイダーは、特定のデータ処理機能をネットワークのエッジに押し出し、アプリケーションのパフォーマンスを加速させ、費用を抑制する分散型システムアーキテクチャに移行しています。

エッジコンピューティングによるIoTシステムの性能、信頼性、経済性の向上

新しいエッジコンピューティング・ゲートウェイとサーバーは、企業やサービスプロバイダーのネットワークの周辺でデータを集約、処理、分析し、さまざまな機能的、経済的メリットを提供します。

エッジコンピューティングが可能にすること

  • クラウド上で動作するアプリケーションから、特定のデータを収集、処理、分析する機能を解放することにより、インテリジェントシステムの性能を向上させ、拡張性を担保します。
  • ローカルでデータを分析し、広域ネットワーク(WAN)の遅延を回避することにより、ネットワークの遅延の影響を受けやすいローカルアプリケーション(リアルタイムの工場フロアオートメーションなど)のパフォーマンスを向上させます。
  • WANリンク(および通信サービスプロバイダーのシナリオではモバイルネットワーク)のアップストリームトラフィックを削減することにより、ネットワークに係る費用を削減します。
  • コンピューティング機能をネットワークに分散させ、単一障害点を排除することにより、スマートシステムの耐障害性と存続性を高めます。
  • エンドポイントのプロセッサとメモリの容量をエッジゲートウェイとサーバに移行することで、よりシンプルで安価なIoTデバイスを実現します。

エッジコンピューティング

アプリケーションやサービスのパフォーマンス、運用費用、信頼性を向上させるために、理論上のネットワークの端(エッジ)でコンピューティング機能を提供することを指します。エッジコンピューティングは、デバイスとクラウドリソース間の距離を短縮し、ネットワークの経由地点を減らすことで、今日のインターネットにおける遅延と帯域幅の制約を緩和します。この技術は、アプリケーションの新時代の到来を示すものだともいえるでしょう。

実用的な意味合いでは、今日の集中型データセンターと、ネットワークの端にある数多くのデバイスをネットワークで接続し、新しいリソースとソフトウェアスタックをインフラ側とデバイス側の両方に分散させることを意味します。

出典エッジコンピューティングのオープン用語集

エッジコンピューティングの市場動向

あらゆる業界に属する企業が、業務効率の向上やスマートシステム、IoT、ビッグデータへの対応を目的に、エッジコンピューティングを導入しています。

500社以上の企業を対象とした、2018年のFuturum Research Edge Computing調査によると

  • 73%がエッジコンピューティング戦略をすでに導入しているか、導入中である。
  • 72%は、ビジネスプロセスと生産性を向上させるために、エッジ戦略が極めて重要または重要であると考えている。
  • 64%は、すでにエッジコンピューティングとデータセンター分析を組み合わせて使用している。

Grand View Research社によると、企業やサービスプロバイダーが分散型システムアーキテクチャへ移行するのに伴い、2025年までに世界のエッジコンピューティングへの支出は32億4000万ドルに達すると予測しています。この市場の急激な成長に対応するため、以下に示すような大規模なベンダーのエコシステムが構築されつつあります。

また、Linux Foundation EdgeX Foundryプロジェクトのような、標準ベースのエッジ コンピューティング フレームワークは、エッジコンピューティングの採用を加速させ、マルチベンダーの相互運用性を促進するのに役立ちます。

IoTシステム・アーキテクチャにおけるエッジコンピューティング

エッジコンピューティングでは、IoTデバイス、センサー、およびアプリケーションから取得したデータを、企業のデータセンターやクラウドに送信する前に、ローカルで解析して対応できるようにしています。 以下の図は、エッジコンピューティングの要素が、一般的なIoTシステム リファレンス アーキテクチャとどのように組み合わされているかを示しています。主なシステムコンポーネントは以下の通りです。

デバイス
データを生成し、制御を必要とするインテリジェントなエンドポイントおよび接続デバイス。

エッジゲートウェイ
データの集約、エンドポイントの制御、プロトコルの変換(SCADAなど従来の運用技術プロトコルを標準IPプロトコルに変換するなど)を行う中間エッジデバイス。

エッジサーバー
ローカルデータを処理・分析するエッジのコンピュート端末。 エッジ・サーバーは、リアルタイムの分析を行い、ローカルのビジネスロジックを実行し、不要なデータをフィルタリングする。

クラウド/データセンター・アプリケーション
企業のデータセンターまたはクラウドで稼働する、ビジネスアプリケーションとサービス。 例えば、データサイエンティスト、事業部門のユーザー、技術者が使用するビジネスインテリジェンス、データ分析、可視化ツールなどがあります。

簡易型IoTシステムのリファレンスアーキテクチャ

工場の各フロアにおけるエッジコンピュートの例

単純な製造業を例に挙げて、各システムコンポーネントの機能を説明します。 このシナリオでは、下図のように、一般的な工場の各フロアの機械がスマート製造システムの一部として監視・制御されます。

各コンポーネントの機能を、簡単な製造業の例で説明します。 このシナリオでは、下図のように、従来の工場の機械がスマートマニュファクチャリングシステムの一部として監視・制御されています。

サービスとしてのエッジコンピューティング

Wasabiの戦略的パートナーであるPacket社のような革新的なIaaS(Infrastructure as a Service)プロバイダーは、顧客がサービスインまでの時間を短縮し、大規模な拡張性を実現し、エッジ機器の費用や運用の手間を回避できるよう、管理されたクラウド エッジ コンピューティング サービスを提供しています。
これらのオンデマンドのエッジ コンピューティング サービスは、顧客やユーザーの近くにある基地局やその他の遠距離にある場所で提供されます。クラウド エッジコンピューティング サービスは、WANの遅延、輻輳、パフォーマンスのボトルネックを解消することで、帯域集約的で遅延に敏感なアプリケーションの速度を上げ、拡張性を向上させます。

Wasabiの活用

IoTとスマートシステムの使用例

様々な業界に属する企業が、自動化を進め、事業を加速させるためにスマートシステムを導入しています。 IDCの調査によると、世界におけるIoT技術に対する支出は、2022年に1.2兆ドルに達すると予測しています。

IoTとスマートシステムの使用例

製造業
工場フロアや産業用制御システムの自動化、設備や従業員の監視・自動化アプリケーションなど

運送
コネクテッドカー、テレマティクス、公共交通機関や交通管理アプリケーション、商用車の追跡、オーケストレーションシステム

小売
セキュリティ、損失防止、マイクロターゲティングショッピング、マーケティング、顧客対応、広告

ヘルスケア
患者モニタリングや健康管理アプリケーション

エネルギー・ユーティリティ
電力、天然ガス、石油、水の配給システム向けのスマートモニタリング、計測、制御ソリューション

在庫管理・ロジスティクス
倉庫管理、サプライチェーン管理、貨物配送、輸送・追跡ソリューション

政府・スマートシティ
公共安全と監視、廃棄物管理、自動駐車と料金計測、電灯、健康と福祉サービス

農業
スマート環境モニタリング、種まき、餌やり、灌漑、収穫などに関する制御システム

スマートビルディング
HVAC、従業員の追跡、エレベーター、セキュリティ、監視

スマートシステムとIoTのためのWasabi Hot Cloud Storage

Wasabiは、あらゆる用途に対応する、安価で高速かつ信頼性の高いオブジェクト クラウド ストレージです。複雑なストレージ階層やわかりにくい料金体系を持つ第一世代のクラウドストレージとは異なり、Wasabiはシンプルであり、高い費用対効果で拡張することができます。

Wasabiは、スマートシステムの中核となる膨大なデータの保存に適しています。以下のように、機械学習、ビジネスインテリジェンス、at-rest分析、データ可視化アプリケーションの中央データリポジトリとしてWasabiを使用することができます。

スマートシステムにおけるWasabiの主なメリットは以下の通りです。

シンプルな価格設定
Wasabiの価格は、シンプルです。使った分を月額で支払うモデルまたは、予約容量制ストレージ(Reserved Capacity Storage, RCS)
を1年、3年、または5年単位で先行購入できるモデルの2つになります。

他社と異なりストレージからデータを抽出するための追加料金(エグレス料金)は不要です。また、PUT、GET、DELETE、その他のAPIコールにも追加料金は不要です。

優れたパフォーマンス Wasabiの並列化されたシステムアーキテクチャは、第一世代のクラウドストレージと比較して、読み込み/書き込みのパフォーマンスを高め、TTFB(Time To First Byte)の速度を大幅に向上させます。

詳細については、パフォーマンスベンチマークレポートをダウンロードしてください。(英語)

高いデータ耐久性と保護
Wasabiは、データの耐久性、完全性、安全性を徹底的に追求した設計になっています。オプションのデータ保護機能により、意図しない削除や管理上のミスを防ぎ、マルウェア、バグ、ウイルスからデータを保護し、また法規制へ準拠します。

詳細については、強力なセキュリティに関する技術情報をご覧ください。(英語)
詳細については、データ保全に関する技術情報をご覧ください。(英語)

階層型ストレージサービスに注意

第一世代のクラウド ストレージ ベンダーは、複雑な階層型ストレージを提供しています。各ストレージ階層は特定の種類のデータを対象としており、パフォーマンス特性、SLA、価格プランが明確に分かれています。

各ベンダーのポートフォリオは若干異なりますが、これらの階層型ストレージは、一般的に3つの異なるデータに対して最適化されています。

アクティブデータ
オペレーティングシステムやアプリケーション、ユーザーが簡単にアクセスできるライブデータを指します。アクティブデータは頻繁にアクセスされるため、一般的に厳しい読み込み/書き込みのパフォーマンス要件があります。

特定のアプリケーションのための最適なストレージを選定することは、従来のクラウドストレージでは非常に困難です。例えば、Microsoft Azureでは、General Purpose v1、General Purpose v2、Blob Storage、Premium Blob Storageの4つの異なるオブジェクトストレージが提供されています。それぞれのオプションには、独自の価格設定とパフォーマンス特性があり、また一部のオプションでは、SLAと料金が異なる3つのストレージ層(ホットストレージ(アクセス頻度の高いデータ用)、クールストレージ(アクセス頻度の低いデータ用)、アーカイブストレージ(ほとんどアクセスされないデータ用))が提供されています。多くのオプションと価格変動要因があるため、十分な情報を得た上で意思決定を行い、正確な予算を立てることは非常に困難です。

Wasabiは、クラウドストレージはシンプルであるべきだと考えています。従来のクラウドストレージでは、ストレージの階層化や複雑な価格設定が行われていましたが、Wasabiは1つの製品で、あらゆるクラウドストレージの要件を満たす、予測可能で、手頃で、わかりやすい価格設定を提供しています。Wasabiは、アクティブデータ、アクティブアーカイブ、非アクティブアーカイブなど、どのようなデータでも使用することができます。

アクティブアーカイブ
時々アクセスされるデータで、オンラインで即座に利用できるデータ(オフラインまたはリモートソースからの復元は行わない)を指します。例としては、災害復旧のためのバックアップデータや、短期間に時々アクセスする可能性のある大容量のビデオファイルなどがあります。

非アクティブアーカイブ
アクセス頻度の低いデータを指します。例として、規制遵守のために長期間保管されるデータなどがあります。一般的に、これらの非アクティブなデータはテープにアーカイブされ、オフサイトに保管されています。

クラウドへの接続

Wasabiは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform上で使用されているお客様のクラウドアプリケーションに、各プロバイダーが提供するダイレクト接続サービス(AWS Direct Connectなど)を介して接続することができます。このような幅広い接続オプションは、 EquinixFlexentialMegaportDigital RealtyIron Mountainなどの大手データセンターおよび交換プロバイダーとの強力なパートナーシップによって実現されています。これらのプライベートネットワーク接続は、インターネットの遅延やボトルネックを回避し、高速で予測可能なパフォーマンスを提供します。また、お客様のプライベートネットワークやプライベートクラウドを直接Wasabiに接続することも可能です。レガシーなクラウドプロバイダーとは異なり、Wasabiダイレクトコネクトでは、Wasabiからデータを移動させるための追加転送(エグレス)料金は不要です。

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